紆余曲折あって、9月は定住居がないことになった。
これまで日本からの赴任者として働いていたのを現地採用に契約切替することになったのだが、変更にに伴って、今まで会社からサポートしてもらっていた家は退去しなければならず、もちろん計画的に引越し先の手配をしていた。ところが、申請担当の人たちが夏休みだったとかなんとかで、VISAのリニューアルが予定より1ヶ月遅れ、今後の滞在を証明する新しいVISAがないと、新居の手配は進められず、元の家は退去、新居にはまだ行けないという、、、どうにもならない状況になった。

 

いつも明るい同僚に話したら、「Wow、ミカ、まさにホームレスなのね!!」と笑い飛ばしてくれた。すっかり滅入りそうになってたので、この明るさはある意味救いだった。

 

約1ヶ月の仮住まいと言っても、貸し手が強い昨今、1ヶ月などの短期で賃貸契約してくれる物件などそう簡単にはなく、通勤圏内の割安Air BnBもなかなか見つからず、最終的にはその同僚の紹介で、とあるシェアフラットに居候させてもらうことになった。

 

シェアフラットは、イギリスの若者の間では一般的で、ひとつの家の中の各部屋に住み、シャワー・トイレ・キッチンなどは共用が多い。過去の結婚以外で他人と共同生活したことなかった私が、40代後半にもなって、生まれて初めてのシェアフラット生活。まぁ、改めてイギリス在住者としての最初の一歩として、こういうの経験するのもいいよね。

 

というわけで、お世話になることになったフラット。3人のフラットメイトに加え、大家さんも一緒に住んでいるんだけど、それがとても風変わりなオジサン、そして話が長い。しかし、これもご縁だし、一風変わった人の考えって、聞いてみると面白いから、時間があれば話をずっと聞いていた。

 

さて、その大家さん、タイ出身で&昔はロンドンのレストランで働いていたということで、むちゃくちゃ料理が上手い。初週には、私の歓迎会といって、新鮮な魚を仕入れて、豪華なお刺身と、タイのサラダ(細いニンジン入っているやつ)を作ってくれたり、今週はシーバスの蒸し焼きをおすそ分けしてくれたり。

 

ある金曜日、私がキッチンで一人で納豆&ご飯&みそ汁という質素な食事をしていたら、大家さんも夕食の支度をしに来て、サーモンとイカと野菜の炒め物を作り始めた。興味深々で様子を見ていたら、「食べるか?」と聞いてくれて、二人きりで夕飯を食べることに。

 

「金曜日の夜なのに、どこにも遊びに行かないのか?」
「うん、私はパーティーガールじゃないからw」
「そっか、僕もそうだよ」

 

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ところで、ちょうど20年前の9月10日、私は初めてロンドンに旅行で来ていた。当時オーディオの仕事をしていて、ロンドンで開催していたIBCという国際放送機器展を見に行きたかったけれど、出張はさせてもらえなかったので、自腹で休暇+旅行で行き、現地社員と出張者と合流したのだった。
夜に、社員の人たちにBlue Elephantというアジア系レストランに連れて行ってもらった。皆が「ロンドンはご飯がまずいというけれど、ここはおいしくて間違いがない」と言っていた。ちょっと高級で、内装もテーブルも素敵だったので、すごく印象に残っていたけれど、ロンドンに転勤してから探しても見つからなかった。
その食事の翌日、アメリカの9.11のテロがあったので、20年経った今でも、前後のことをすごく鮮明に覚えている。
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さて、大家さんとの話に戻る。
大家さんのおいしい料理を食べながら、いろいろな話を聞く。大家さんの野望は、イーロンマスクなみに大きいんだけど、一方で堅実な話もあって、その一つが、レストランを開くこと。昔彼が働いていたようなレストラン。世界各地から人が集まって、情報を交換したり、ビジネスの話をするようなところだ。世界各地のおいしい料理が食べれるところ。

 

「そうだ、昔僕が働いていたレストランの、写真を見せてあげるよ」とGoogle画像検索で見せてくれたレストラン、、、、
「Blue Elephant」
え?!!!
そのレストラン、、、、
「もう今はないよ、いろんな国にあったけれど、全部クローズしちゃったんだ」
そこ、ちょうど20年前の今日、私行ったよ。
「そのころ僕は毎日休まず働いていたし、入口で受付をしていたから、すれ違っていたかもね」
私たち、20年前の今日、絶対同じ場所にいたんだ、、、、。
すごい偶然というか、運命?!
私の感動と興奮を伝えても、特に反応もなく平然としている大家さん、、、、。私の話伝わったのかな?

 

ご飯を食べ終わり、後片付けをして、
「一緒にご飯食べれてよかったよ」
わたしも。ひとりで食べるより、いいよね。おやすみなさい。

 

住むところがなくなった時は、なんとも疲れ切って、心も疲弊しかけていたけれど、こんな出会いと経験ができるとは、やっぱり、人生は面白いし、こうなったこともありがたいと思うのだった。

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